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2025年6月6日

こあらのコラム~4歳の節~

先日研修で、龍谷大学名誉教授の白石正久さんのお話しを聞きました。

テーマは、就学までを見通した子どもの発達と保育~「新しい自分」になろうとする子どもの心を重ねる~

でした。

 

「発達」とは、子どもの育ちを指していますが、それは、○歳までに○○ができるという、子どもの外にある基準ではなく、一人一人の子どもの発達へのねがいから始まるもの、そんなふうに話されていました。

ねがいがあるからこそ、自分の現実とのずれがあり、発達の矛盾が大きくなります。この矛盾は苦しいことだけれど、発達とはその矛盾を乗り越えること。

矛盾を乗り越えるためには、安心の第二者が必要と話されました。

 

大きな発達の節は、1歳半と4歳と7歳。

1歳半では、区別がつくようになる。4歳は、比較する力がつくようになる。7歳は、系列が分かるようになる。

そんなお話しでしたが、ちょっと難しくなりますね。

身近なことで話すと、1歳半では「わたしーあなた」の区別がつくようになること。「そっちじゃない、これがいいの!」という区別する気持ちが強くなること。そういった区別です。

確かに1歳半頃から自我を発揮して、このような姿が多くなりますよね。

安心の第二者(大人)に支えられることで、活動をやってみたり、友達とつながったりするようになります。

 

4歳では、「できるーできない」「上手ー下手」「勝つー負ける」などの比較が分かります。

だからこそできない自分を感じやすく、負けることに敏感になりやすくなる。

「いつもできない自分」と思い込みやすいからこそ、そうじゃない自分も感じられるようにしていきたい。そして友達と心を響かせあいながら一緒に遊べることが大切になってくる。

 

この4歳の節を、現在の4歳クラスの子どもたちで見ていくと、確かに「敏感だからこそだろうな」と感じるような様子があります。

「負けるのがイヤだから参加したくないな~」「上手じゃないから今は見ていたいな~」「○○ちゃんが○○したよ!」など、そんな様子がよくある4歳児。

一つ一つの気持ちを「今はそういう気持ちなんだね」と受け止め、見学参加も大丈夫だということ、どの子もみんな参加できる活動も取り入れていくこと、「そうだったの困ったね」と気持ちは共感し、子どもがどう解決するかまではおせっかいをしない(言わない)、そんな関わり方を担任たちは意識しています。

そうしていく内に、少しずつ子どもたちにも変化が見られ、最初はこわばっていた表情も和らいで気が付くと活動に参加していたり、自分から友達に「やめて」と伝えたりと、そんな姿も少しずつ見られてきました。

このような経験を重ね、4歳の節、発達の矛盾を乗り越えていけるように、安心の第二者であり続けていきたいです。