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こあらのコラム~人間関係の基礎~
保育園の集団の中では、子ども同士で物の取り合いや場所の取り合い、ひいては誰と一緒に遊ぶかといった友達の取り合いなんかも起こることがあります。
1歳の子はほとんど一人遊びをしていますが、遊んでいる時に目に飛び込んできた友達が、持っているおもちゃや遊んでいる物がとても魅力的に見えて、欲しいなという気持ちになることがある様子です。でも「かして」とか「ちょうだい」とか「一緒に遊ぼう」といったコミュニケーションに必要な言葉を使うことはまだまだ難しいところです。言葉なく取っていくということは、この年齢で度々ある姿です。
この課題を越えていくのはもっともっと先で、それまでの間、保育者はくり返し「かしてって言ってみる?」とか「使っている時はあとでって言えばいいんだよ」「(イヤだと言われ)悲しかったね、こっちで遊ぶ?」などと言葉をそえています。
2歳になると言葉の数はかなり増えますが、それは主に名詞が増えている様子で、コミュニケーションの言葉はまだまだ十分ではありません。周りの様子もよく分かり、「自分の!」といったこだわりも出てきて、この時期もやはり思いがぶつかり合っています。そのため「かしてって言ってみる?」などの関わりをまだまだくり返しています。
3歳になると更に言葉が増え、お医者さんごっこなどの遊びが盛んになり、言葉のやり取りが増えていきます。絵本も集中して聞くことができ、「なんで?」「どうして?」の問いかけも増えていきます。自分で体験したことを話したがったり、友達の話しにも耳を傾けるようにもなり、3歳半ころをすぎてくると、順番やルールを守ろうとする姿が増えていきます。
※この発達の道すじは個人差が大きく、必ずしもではないので目安程度にとらえて下さい。
4歳や5歳、6歳でも友達同士で気持ちがぶつかり合った時は大人の介入が必要な場面もあり、就学前の乳幼児期は全般的に「かして」や「あとで」や「ありがとう」のやり取りが大きな課題だと感じています。(先日の会議の議題でもあり、職員間で育ちを支えようと話し合いました。)
この育ちはきっと、人間関係の基礎になるのではないかと思っています。
子どものモデルは大人です。
おもちゃを取られたとき「いやだー!!」と怒っていることもよくあります。この時、みなさんはどう言葉を添えるでしょうか?余裕がないと「怒りません!」と言いたくなるかもしれません。「取っちゃダメでしょ!」と、事情も聞かずに決めつけて言ってしまいそうになるかもしれません。余裕があれば「今使ってるからあとでねって言う?」と言い換えができますし、取った側には「○○さん困っているみたい」と、説得ではなく説明することができます。
どんなふうに育ってほしいか、何を大切にしたいか、そういった姿勢が大切だと考えてくり返し気長く関わっています。ご家庭とも協力できていけるとなお良いなと思います。
